平成17年度施政方針

 

ページ番号1000634  更新日 平成28年8月9日 印刷 

平成17年第1回福生市議会定例会における市長の平成17年度施政方針です。

はじめに

平成17年第1回市議会定例会に当たり、貴重なお時間をいただきまして、私の施政方針を申し述べさせていただきますことを心から感謝申し上げます。
昨年5月の2期目の市長就任以来、はや9か月余りになりますが、この間の市政運営に際し、議員並びに市民の皆様から多大なる御指導、御協力を賜りましたことに改めて厚く御礼申し上げます。

さて、昨年は、災害列島という言葉を、改めて強く実感した年でございました。台風、集中豪雨、地震が日本各地を襲い、また世界規模での津波災害も発生し、多くの尊い人命が失われ、家屋等の被災も未曾有のものがございました。
災害でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被害に遭われた多くの方々に、心からお見舞い申し上げます。そして、一刻も早い復興をお祈り申し上げる次第でございます。

自然災害の際、特に地震災害の初期行動では、10年前の阪神淡路大震災でも指摘されたところでございますが、地域の方々の助け合いが重要であります。
新潟県中越地震では、初期の人命救助活動から避難行動、そして長期となる避難生活の各場面におきましての隣り近所、地域での助け合いが大変大きな力となり、人々の復興への歩みを後押ししております。
阪神淡路大震災の際には、目を見張るボランティアの活躍があり、ボランティア元年といわれましたが、今回の数々の災害の際にも、全国からボランティアの皆さんが駆け付け、地元の方々と一緒に復興に御尽力なされています。
心からの敬意を表するとともに、どのような時にも、一人ひとりが力を合わせることの尊さ、その強さを再認識いたしたところでございます。

自然災害のみならず、子どもを対象とした犯罪や空き巣等が多発している現在、私たちは、自分自身を守り、他者を守るため、日々防災、防犯について、意識をしながら生活することが求められています。行政、各種団体、市民一人ひとりが危機意識を持ち、隣り近所、地域の関わり合い、助け合いを大切にした日常的行動が必要となります。
すべての市民が、安心して暮らすことができる安全な街は、すべての主体が共に築き、育てていかなければなりません。完璧な防災、防犯対策は無いということを肝に銘じながら、防災計画の随時の見直しや自主防災組織等の活動、地域での見守り等の充実のための支援策を、積極的に進めてまいります。また、その地盤となる地域コミュニティを育てていくために、町会長協議会に設置された町会活性化部会等の意見を踏まえ、さまざまな施策を包括的に実施していく必要があるとの認識で、安全安心まちづくりを進めてまいります。

福生市の現状と課題

次に、福生市の現状と課題、それに対する基本的な考え方について、申し述べさせていただきます。

福生市は、今年、市制施行35周年を迎えます。これは、ひとえに先人の努力の賜物であり、今を生きる私たちは、託された福生市をさらに輝かせるとともに、後世に「つけ」を残さないように市政を運営し、将来の福生市民に引き継いで行く使命があります。
また、「やすらぎ いきいき 輝く街 福生」を将来都市像といたします第3期福生市総合計画の前期基本計画は、平成16年度で計画期間が終了いたします。
この前期基本計画では、市民が主体の市政運営を見据えた市民参画の推進、市民との情報の共有の促進、協働などを図りながら、計画化された101件の事業のうち、94件に取り組み、着実に目標に向けて歩んで来れました。
これも、ひとえに市民並びに議員各位の御理解と御協力の賜物と深く感謝申し上げる次第でございます。

福生市の光と影

さて、福生市は、市民一人当たりの公的施設の整備率は、東京都26市においても上位に位置しており、また、市域が狭いことも幸いし、公共交通の利便性にも恵まれている状況でございます。そして、多摩川、玉川上水の清流やハケの緑など、自然環境にも恵まれております。
しかしながら、市税等の徴収率に現れる市民の権利義務意識の問題や、自立性といった面での生活保護率の高さなど、福生市特有の課題もございます。
福生市というものを、客観的にみて、その光の部分や影ともいうべき面を、ともに考えていかなければ、福生市の将来は描けません。
光の部分は、先人の努力の賜物として引き継がなければならないものであり、影ともいうべき面は、できるだけ将来に残してはならないものでございます。
課題には、必ず原因がある訳ですので、今を生きる私たちが、その原因を取り除く行動をおこさなければなりません。そのためには、市の状況、財政の状況など、光も影も含むすべての情報を、市民と共有し、議論を進めていくことが必要であると考えており、「データから見る福生」「福生市の財政の現状」等福生市を理解できる「白書」的なものを充実し、公表し、協働を進めてまいります。

市政を取り巻く社会状況

さて、市政を取り巻く社会状況でございますが、地方分権一括法の施行から5年を経過し、その間、国と地方は「対等・協力」の関係となり、現在、分権型社会の基盤となる「財政の自治」の実現に向けて進んでいるところでもございます。その歩みは遅々としており全体が見えませんが、この方向は変わることなく進むことから、福生市として、将来を見据えて具体的な政策を決定し、対応していかなければなりません。「自立」と「協働」を目指して、さらに歩みを速めていく必要があり、その過程で、自治基本条例といったもの等も策定していかなければならないと考えています。
国、都、市における財政構造改革、とりわけ三位一体の改革は、今後の市財政に大きな変化をもたらします。新年度のこれによる影響は、それ程大きくはありませんが、これから協議が始まる今後の影響は、かなりのものになることを想定し財政運営をしなくてはならないと考えています。
権利には、義務が、自由には責任が伴うわけでございまして、自立した独自の自治体を創る自由と権利、即ち地域主権ということは、福生市として独自に、サービスと負担をいかに調和させていくかということでもあります。決定する首長と議会の責任は、ますます重くなっていくと言わざるを得ません。
私は、現在の財政状況を単に「厳しい」と捉えるのではなく、身の丈にあった財政への転換期であると考えます。財政や環境等の「つけ」を、後世に残さないために、今の私たちが何をしなければならないかを考え、行動し、持続可能な発展をしていくという決意のもと進めてまいります。

また、少子高齢化の時代とは、税を負担する層の減少と公共サービスを必要とする層の増加ということを意味します。
とりわけ、現在、社会の中心として、重要な位置で活躍されている、いわゆる団塊の世代の方々が、その位置を後任に譲る時期が迫ってきており、それは自治体にとりまして、課税客体の減少であり、市税収入の減少を意味するものでございます。また、市役所にとりましても、一時に職員が大量退職することであり、適正な職員定数の管理や一層の行政改革を、さらに進めていかなければなりません。
しかしながら、視点を変えてみますと、豊富な知識と経験を持つ団塊の世代の方々が地域に戻られ、市政に積極的に参加してもらえる状況となるということでもあり、市民との協働を進める良い時期と考えることができます。まちづくりでの御活躍が期待されるところであります。

基地について

次に、福生市の市政運営を考えるうえで、絶えず注視しなければならない横田基地についてでございますが、米軍再編や軍民共用化などについてのさまざまな報道がされております。この点については東京都が、報道されるたびに決定状況を外務省や防衛庁に確認しており、「現在までいかなる決定もされていない」との返事が来ておりましたが、ここにきまして、外務省から、防衛庁との連名での2月19日付文書により、「2プラス2」日米安全保障協議委員会の状況骨子が送られてまいりました。それによりますと、軍事態勢の見直しについて、今後数か月の間に集中的に協議を行うとのことであり、従って、一定の基地再編案等が出される可能性がございます。
軍民共用などの問題もありますので、新年度から基地・渉外担当に課長級の主幹を置き、情報収集等に当たらせてまいります。
今後とも、基地の将来を決める重要な問題に対し、その影響を最も受ける基地周辺住民の意思が十分に取り入れられ、明確に反映されなければならないとの立場を堅持し、一層の国等への要請と情報の提供を求め、議会へも御相談してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
また、基地の存在が及ぼす周辺住民、環境への影響など諸課題の解決に向けて行動してまいりますとともに、これらの活動と並行し、基地の存在を活用したまちづくりについて、防衛施設周辺まちづくり構想を策定し、多様な国際交流や地域交流を視点に、特色あるまちづくりを進めてまいります。

合併について

次に合併についてでございます。
今までも申し述べさせていただいているとおり、将来的に単独での市民サービスの維持、向上を図っていくことができるのかが、基本的な論点であると認識しております。従って、国の政策を注視しながら、将来的な財政見通しを立てたうえで、問題点の把握、整理を行ない、市議会、市民の皆さんと情報を共有し、議論していかなければならないと考えております。
合併を選択するにしても、現状のなかで、福生市として可能な限りの自立をしている必要があります。
現代においては、市民生活の範囲は大きく広がり、仕事の場、買い物の場、生活を楽しむ場や暮らす場が、一つの市町村に留まらないことは明らかです。
これまでも、広域的な課題については、一部事務組合での対応や広域行政圏での検討、対応などを図ってまいりましたが、これからも市町村の枠にとらわれず、広域的なニーズ、広域的に統一した方が効率的な課題、例えば道路、鉄道などで、一層の広域連携、協力を進めてまいります。

修正後期基本計画の策定

これら、前期基本計画の進捗状況や課題、市政を取り巻く状況などの分析に基づく基本的な考え方から、第3期総合計画の仕上げともいうべき平成17年度からの「修正後期基本計画」を策定しているところでございます。
まず、この後期基本計画は、基本的方向性として、将来都市像「やすらぎ
いきいき 輝く街 福生」構築のために、市民参画、市民との協働、そして行政改革を一層推進し、持続可能な行財政、即ち自立へと改革を進めることとしております。
それは、自立した市民と行政との役割分担、公平、公正な負担についての明確化でもあります。
新年度におきましても、使用料等で市民の方々に負担をお掛けするものがございます。将来的にも、自治、自助・互助のなかで、また、後世の福生市民のために、公平、公正な負担をお願いしなければならないこともございます。
特に、国民健康保険特別会計などの特別会計での受益者負担についてでございますが、特別会計の意義につきましては、「受益と負担の関係や事業ごとの収支をより明確にする」また、「適正な受益者負担、事業収入の確保や歳出削減努力を促がすことができる」ということで、独立性を持たせている訳でございます。しかし現状は「一般会計からの繰入金などにより、事業収支における受益と負担の関係が、不明確、不公平になっている」、また「適正な受益者負担、事業収入の確保や歳出削減の努力が、おろそかになっているのではないか」などの問題点も指摘されているところでございます。
福生市における特別会計の現状につきましても、一般会計からの繰入金の増加や公平、公正な負担の視点からの問題など、さまざまな課題があり、一定の受益者負担をお願いしなければならない状況となっておりまして、改めて御理解と御協力をお願いする次第でございます。
しかし、市民の皆さんに受益者としての負担をお願いする前提として、歳出削減に努力することは、行政に課せられた当然の責務でございます。
それぞれの特別会計、そして一般会計におきましても、事務経費等の一層の削減を進めるとともに、歳出抑制のための対策を実施していくことが必要であります。福生市は、一人当たりの国民健康保険医療費が、26市で最も低い状況でございますが、これも健康診査の充実、スポーツ振興等の充実の成果でもあろうかと思っております。さらに健康寿命を延ばし、市民の皆さんに心身ともに健康な身体を作っていただくための「健康ふっさ21(仮称)計画」の策定、「介護予防健康診査」の導入や住環境の改善等の施策検討等を進めていく所存でございます。

さて、持続可能な発展と協働を進めていく第1ステップは、情報の共有でございます。
私自身、市の情報のなかで、個人情報は別として、市民と共有できない情報は無いという考えを持っております。議会制民主主義のもと、行政が政策、施策を企画立案し実施していく過程とは、市民の方々に、光も影も含むすべの情報を提供し、議論し、そこから政策化し、議会の議決をいただいて、その多くは市民と協働して実施していくこととなります。そのためには、市職員の説明責任が重要であり、その説明の内容、やり方というものを、すべての職員が身に付けていなければならないと考えております。
第2ステップは、意識改革でございます。
今まで、行政が担うものとされていた事業が、指定管理者制度や構造改革特区制度などの導入により、市民活動団体や民間事業者が担うことができるようになるなど、行政自体の在り方について、抜本的な意識の改革が求められております。
市民自治を進め、持続可能な発展をするためには、行政が行うもの、市民との協働によるもの、市民が行うものの役割分担の明確化を図り、市民と行政との関係について既定の概念から脱却し、新たな視点での関係構築を目指さなければなりません。
市民、行政が既存の概念を払拭し、輝く街福生を創っていく一員としての役割と意義を自覚し、我がまちづくりを進めていかなければなりません。
既に、市民会議やフォーラムへの参加、萌芽更新事業や捨て看板撤去事業、水辺の楽校等の協働実施など、新たな視点での役割分担、参画に取り組んでいる市民の方もおられ、大変有難く思っております。
市職員といたしましても、スピード、オリジナリティ、責任、競争、自己研鑚等を鍵として、市民との具体的接触の中から、福生市にとって何が大事であるか、何が求められているかを知ること、それに対する施策には何があり、どれが最適であるかを判断することが求められております。それは、国から決められて役所が行う施策ではなく、市民生活の課題から始る施策であります。横断的政策課題についての本部長制度やプロジェクトチームなどの基本となる市役所というもの、市の仕事というものについての抜本的な意識改革が必要であり、機会あるごとに職員と話をしているところでございます。
行政での意識改革の一つの事例として、新年度から、新たな予算編成方式を導入させていただきました。この枠配分方式と事務事業評価、実施計画、職員の目標管理制度とを効果的に連携させ、市民ニーズを機敏に反映させながら、限りある財源の効率的、効果的な配分、執行をいたすとともに、職員の意識改革を進めてまいります。水曜日の開庁時間延長、土曜日開庁などもその一つでございます。
さらに、大学等の頭脳が集積した多摩地域の特色を活用し、学術・文化・産業ネットワーク多摩への参加など大学等との連携を深め、施策の企画立案過程に反映させることにより、企画立案能力の向上や新たな視点での施策検証などを図ってまいりたいと考えます。

基本的な取組みと新年度の主要な事業

次に、後期基本計画の各分野ごとに、基本的な取組みと新年度の主要な事業について説明させていただきます。

はじめに、基本計画の下には、基本計画を補完する各分野での計画があり、現在、地域福祉計画を始め17の分野別計画が、多くの市民の参画をいただいて策定されております。これらの計画は、どれをとっても単独の部課や行政のみで遂行できるものではございません。その多くは、すべての部課や市民等にわたって、立体的な協力の下で遂行すべきものであり、行政と市民との協働によって施策の実効性が図れるものと考えております。計画策定の協働が第1段階とすれば、実施、実行する協働の第2段階が始まっているわけであります。
今回、それらの分野別計画を後期基本計画の中で体系化し、施策の一層の連携を深め、市民参画を得て効率的に推進してまいります。

教育、文化

まず、教育、文化の分野につきましては、教育委員会への適切な支援、教育委員会の主体性の確立に向けての支援を行ってまいります。子どもは未来からの留学生であり、将来の日本の担い手であるとの認識を持ち、家庭の子育ての力の育成、地域での子育ての力の向上を図るとともに、地域を媒介とした、学校教育と社会教育の融合、学社融合を目指した組織として教育委員会事務局を改編し、生涯にわたる学習環境を充実させ、自立的市民の形成に向かって生涯学習を推進してまいります。
新年度には、不登校対策といたしまして、不登校児童・生徒の自立支援を行う適応指導教室設置事業、心のケアを必要とする児童・生徒へ専門的な立場から心の健康に関する相談を行う専門医の配置事業、また、中央体育館の耐震補強、屋根の修繕事業に向けて、実施設計に取り組むとともに、引き続き、中学校昼食対策事業、市民会館・公民館リニューアル事業などに取り組むこととしております。

福祉、保健、医療

福祉、保健、医療の分野では、二市一町の中核的病院として、救急医療の拠点となる公立福生病院の施設整備、医療体制の充実に努めるとともに、治療から予防へ、健康増進へと重点的施策をシフトさせ、市民一人ひとりの健康づくりへの意識を高め、分野を超えた施策の充実を図ってまいります。また、高齢者、障害者等社会的弱者への対応などでは、行政サービスを特に必要とする方の状況に応じた施策の重点化を検討し、実施してまいります。
生活保護につきましては、被保護者の自立支援策として、就労支援の充実を図るとともに、国に対し、国庫負担割合の維持や等級区分の変更など、地方の状況に即した政策実施を強く要望してまいります。
一層の進行を見せる少子化の流れについての対策は、子どもを産み、育てやすい環境の整備が重要であり、次世代育成支援対策推進法に基づく、社会全体での子育てサポートの仕組みの整備を行ってまいります。
新年度には、子ども家庭支援センターを開設し、子育てについてのさまざまな問題や悩みを、センターを中心として、行政の分野を超えてそれぞれの専門機関が連携して解決していくネットワークを構築し、一人ひとりの子どもに対して総合的に取り組む「福生型」の子育て環境の整備に努めてまいります。
また、保育園の就園でございますが、26市中福生市だけは、お陰様で年度当初の待機児童0人という状況が続いております。この好ましい状況を維持しつつ、少子化のなかで、公立保育園の役割、在り方ということについても、幼稚園を含め十分検討しなければならないことと考えおります。幼保一元化の流れなども考慮しつつ、議会と御相談申し上げながら、方向性を見出してまいります。
新年度には、福生病院の建替事業が実施設計の段階となり、平成21年度完成を目指し、羽村市、瑞穂町と協力して進めてまいります。先にも述べました「健康ふっさ21(仮称)計画」策定事業や介護予防健康診査事業などに取り組みます。

都市基盤整備

次に、都市基盤整備の分野でございます。
昨年、都市景観市民会議が発足し、特色あるまちづくりとしての都市景観について議論を進め、市民プランを策定していただいております。景観の重要さは、それに影響されて人が育つことにあります。美しいまちづくりに向けて始っている協働行動を、さらに展開することが重要であると考えております。
従って、この市民プランをもとに都市景観条例の制定、都市景観基本計画の策定を行い、自然環境と人工環境との調和を図りながら、市民に愛される、福生らしい都市景観を目指してまいります。
また、都市計画道路につきましては、多摩地域都市計画道路基本計画に基づき整備を進めていくとともに、都市計画道路3・4・7号線「富士見通り」の整備に向けて検討してまいります。
福生市は、JR3線、五つの駅を中心といたしまして、交通の利便性に恵まれた環境にございますが、一方では、段丘による坂があり、高齢者など交通弱者に厳しい環境でもございます。市内循環バスの導入につきましては、基礎調査により、財政的な面での課題が指摘されたところであり、福祉としての視点、交通弱者に対する交通網の整備という視点から、福生市独自の施策について検討を進めております。
市民が日常生活を営むなかで最も重要な空間である住宅は、私的財産としての位置付けにとどまらず、街を形作る基本要素として、都市景観やコミュニティ形成に密接にかかわるものでございます。震災対策、環境対策などの面からの一般住宅の質の向上を図り、定住化促進対策としての住宅総合政策が必要との認識から、平成18年度には「住宅マスタープラン」の見直しを行ない、その際には、総合的な推進を図るため、住宅基本条例等の制定についても検討してまいります。
新年度におきましては、市内に残された貴重な緑地を保全するともに、市民に憩いの場を提供する中福生公園拡張事業や原ケ谷戸緑地(仮称)整備事業を実施し、また、八高線東福生駅の自由通路につきましては、利用者の利便、安全を確保するため、上屋設置の実施設計を行ってまいります。拝島駅自由通路整備事業につきましても、昭島市と協力し、引き続き取り組んでまいります。

生活基盤整備

次に、生活基盤整備の分野でございますが、防災、防犯対策については冒頭申し上げたとおりでございます。自然災害に「未曾有の」という言葉が付くたびに、地球温暖化など、今までの「つけ」が回ってきたのではないかという想いにとらわれます。自然環境は、今の人間だけのものでなく、人類の永遠の共有財産であります。私たちが、住み良い暮らしを求めたとき、どうしても環境への負荷は生じるものですが、少しでも減らしていく努力もまたしなければなりません。
今後も、環境基本条例、環境基本計画に基づく総合的な環境行政を推進してまいります。
新年度には、環境教育推進大綱の策定、新エネルギービジョンに基づく施策実施等を進めてまいります。

産業の振興

次に、産業の振興についてでございますが、活気ある街には、中心となる商店街がございます。人が集い、いきいきしたまちづくりは、同時に商工業の活性化でもあります。現在、福生市商工会では、活性化実行委員会が中心となり、商工業の活性化に向けてさまざまな議論と実践がなされております。この活動に対しましては、心からの敬意を表するとともに、その効果に大いに期待するものであり、今後とも商工会との連携を深め、振興策を推進してまいります。
新年度には、商工会の財政的自立支援のための廃棄物処理手数料収納事務の委託や、福生市の魅力を再発見し、賑わいのあるまちづくりへの一歩となる観光協会の設立準備への支援も行ってまいります。

構想の推進

続きまして、構想の推進の分野でございます。
まず、市民参加の拡大でございますが、地縁型コミュニティに加えてテーマ型コミュニティなど、さまざまな市民生活に根ざしたコミュニティの輪が広がりを見せており、また、ボランティア活動など、市民の主体的な活動も活発化しております。これらの市民の力を合わせ、協働してまちづくりを進めていくため、さらなる市民参加の拡大、市民活動の支援、育成に努めてまいります。
行政改革につきましては、指定管理者制度の活用や、構造改革特区制度も視野に入れ、一層の改革を図ってまいります。また、市民ニーズの的確な把握、それに対する分析と企画立案、さまざまな手法による実施を、主体的に、効率的に行うことができる行政を目標に、平成18年度からの第4次行政改革大綱の策定を行ってまいります。
新庁舎建設につきましては、議会、市民の御指導、御協力をいただきながら進めておりますが、簡素で効率的な庁舎建設に向けて、取り組んでまいります。
新年度では、市民、市民活動団体相互の交流、行政との情報共有を促進し、問題解決に向けての協働を推進するため、「輝き市民サポートセンター」を設置、運営してまいります。また、行政改革につきましては、第4次行政改革大綱の策定、外部評価などの導入による事務事業評価の充実と実施計画や職員目標管理制度との連携を強めての事務事業の見直しなどに取り組んでまいります。
新庁舎建設に向けて、担当参事の配置などを行いながら実施設計に取り組み、外国籍の方々の生活利便性向上と国際化の推進を目的とする「外国人のための生活便利帳」の作成にも取り組んでまいります。
なお、各分野ごとの具体的な事業につきましては、実施計画により明らかにしておりますので、ご参照をいただきたいと存じます。

結び

結びに、現在の厳しい状況を、危機感を持ちながらも改革のチャンスと捉え、意識改革、行政のスリム化など一層の行政改革を推進することは、現在への対応としてだけではなく、将来の福生市を輝やかせる基礎であります。
そのためには、福生市の現状を理解し、そして共有し、将来の市民に対しての責任を果たすために、今我慢できることは我慢し、負担しなければならないことは負担するという意識を持つことが必要でございます。
自治あるところ責任があり、権利があるところ義務があります。地方分権、市民主権とは、厳しいものであるということを認識し、そのうえで、地域にあった施策を主体的に、自己責任のもと実行する自治体が、競争を生き抜き、未来を勝ち取る自治体となります。
私といたしましては、市民から負託された大きな責任を自覚し、地方分権型国家を形成する自治体として、自立と協働を柱に、市民に開かれた、市民から支持される効率的で効果的な市政運営を行ってまいる所存でございます。

議員各位、市民の皆様の一層の御指導、御協力をお願い申し上げまして、平成17年度の施政方針とさせていただきます。
長時間にわたり、御清聴を賜りまして、誠にありがとうございました。

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