平成19年度施政方針

 

ページ番号1000632  更新日 平成28年8月9日 印刷 

平成19年第1回福生市議会定例会における市長の平成19年度施政方針です。

はじめに

平成19年第1回市議会定例会に当たり、貴重なお時間をいただきまして、私の施政方針を申し述べさせていただきますことを、心から感謝申し上げます。
私が2期目の市政運営に携わることとなりましてから、間もなく3年が経過しようとしております。この間の市政運営に際しましては、議員並びに市民の皆さんの多大なる御指導、御支援、御協力を賜り、改めて厚くお礼申し上げます。

福生市の現状

さて、わが国は、有史以来はじめてとなる、総人口が減少する人口減少社会へと入っております。福生市におきましても、住民基本台帳人口は、平成8年から減少に転じ、外国人登録人口を合わせた総人口でも、平成14年を境に減少に転じております。
特に、年少人口と言われる子どもの人口は、例えば小学校の学年平均人口で見ますと、昭和56年を100とした場合、平成18年では64となり、5年後の平成23年には52になると、東京都教育委員会では推計をしております。30年間で、約半分になると予測されているわけでございます。
子どもの人口が減っていく一方で、65歳以上の高齢者人口は、ますます増加し、その割合は、平成9年の11.2%から平成19年には17.7%となり、この10年で1.54倍になりました。これらの影響で、15歳から64歳までの生産年齢人口も、この10年で3.8%の減少となっております。
人口密度の高い本市では、今後この傾向が、ますます加速して進んでまいります。
地方の過疎地の問題であると考えられていたことが、例外的な都市を除き、日本の総人口の減少とともに進んでいると言えます。

福生市における課題

このような状況の中で考えなくてはならない課題の第1は、福生市の置かれている広域的環境であります。
首都圏中央連絡道が、この6月に中央自動車道と接続します。日の出インターから福生市内へ10分かからずに入れることが出来、都によるアクセス道路の整備も進んでおります。また、国道16号線の拡幅も進み、拝島駅自由通路についても、一部仮設階段ではありますが、この秋口には利用できるようになり、利便性は、ますます高まるものと思います。
また、横田基地の軍民共用化の国の一定の方向性については、10月過ぎには示されることでしょう。
このような広域的環境の変化をもとに、福生市として、どのようなグランドデザインを描くかであります。
課題の第2は、人口減少は進むにしても、それを緩やかなものとし、持続可能な自治体を創っていくための施策であります。所得水準の向上や新たな産業振興策、定住化対策としての環境や景観、教育を含む子育て支援や文化、住宅構造の改善等の課題があります。
課題の第3は、後年度の人々への負担を、できるだけ少なくするための環境負荷の軽減や行財政運営であります。それは、健康寿命を伸ばすことや自立、自治の確立の課題でもあります。
課題の第4は、個として自立し、お互いに協力し、協働するという心の豊かさの追求であります。
今現在、そこにある問題の解決とともに、福生市の将来を見据えて、現在の施策を進めるという視点が、今日ほど重要な時代はないと考えております。

施策を進める考え方

これらの課題を、どのように捉え、どのように考えるか、そして、どのような方法で解決していけば良いのか。それぞれの施策の推進とともに、私の基本的な考えを述べさせていただきます。

広域的環境について

福生という街を、行政区域で考えた場合、狭いうえに人口密度が高く、郊外型の発展の余地が無い、あるいは、首都圏中央連絡道や多摩都市モノレール等の新たな交通網整備から外れているなどのマイナスのイメージがあります。しかし、福生を中心とする広域的な視点で考えると、例えば騒音に悩まされることなく、10分程度の時間で首都圏中央連絡道の利便性を享受できるなど、プラスの面も現れてまいります。
このような、福生市が置かれている広域的環境、その変化は、市民の生活圏という面からも、まちづくりのグランドデザインを描く際の重要な要因となっており、直ちに合併ということではなく、さまざまな分野での相互補完、連携を前提とした将来の街の姿を描くことが必要であります。また、広域的視野での行政の運営とともに、地域のコミュニティの育成や文化に取り組むことも重要であり、自立した街として、広域的な視点と地域的な視点を併せ持ったまちづくりを進めていかなければならないと考えております。
横田基地については、日米間での協議結果によって、その後の対応が分かれますが、福生市、市民への影響が、どう出て来るのか大きな課題であります。状況を見つつ、皆さんの御意見を伺いながら、適切に対応してまいります。
「基地は無いことが望ましい、しかし国策として存在する以上容認するしかないが、存在による迷惑については、国、全国民によって十分な配慮をしていただきたい」との基本的なスタンスは、基地の態様が変化しようとも変わらぬものでございます。国策であり、市、市民の自己選択、自己決定にはそぐわないものではありますが、その影響を最も受ける基地周辺住民の意思が十分に取り入れられ、明確に反映されなければならないとの立場を堅持し、米軍再編に関する6項目の要請の実現、軍民共用化等の十分な情報の提供について、強く要請してまいります。

持続可能な自治体の創造について

さて、長期的に少子化傾向が続く社会状況にあって、いかに社会の活力を維持し、持続可能な社会構造を作っていくのかが、将来の市民に対する責任として、市民、自治体に求められており、第2の課題として挙げさせていただきました。
それは、一つには、将来を託す子どもたちの育ちの環境を整備し、力のある子どもを育てるということでもあります。
冒頭申し上げましたが、福生市の人口の推移、特に子どもの人口の動きというものを分析いたしますと、まちづくりの課題が浮かんでまいります。
学力問題やいじめという形で表れる心の荒廃、家庭のさまざまな問題、保護者や地域の教育力の低下の問題など、福生市の影ともいうべき課題が、子ども自身、子どもを取り巻く環境に、色濃く反映されております。
影ともいうべき課題の一つである定住化という面から考えてみますと、昨年公表された東京都の人口動態統計における平成17年の合計特殊出生率では、福生市は島嶼を除く都内区市町村のなかではトップの1.40という数値でございました。しかし、就学児童数は減少傾向を示しております。
出生と死亡の関係である自然増については、率は小さくなっているものの増加していますが、転入、転出の社会増は、マイナスとなっており、特に0歳から7歳まででは、17年度11.3%減少しております。
若い夫婦にとって、子どもを生む環境としては適しているが、育てる環境としては評価が低いのではないかというここが推測され、一人当たりの居住室の広さが、26市のなかで最も低いといった住宅の面積、質という住宅問題が現れてまいります。
この問題については、現在策定しております住宅マスタープランをもとに考えてまいりたいと存じます。また、町会や自治会への未加入者問題は、地域力、地域の子育て力の低下として現れ、総体的な街づくりの課題が、子どもを生み、育て、子ども自身が育つ環境に凝縮されて現れていると考えております。
人口減少を緩やかなものとし、持続可能な、自立した福生市を創るということは、将来を担う子どもたちが、主体的に育つことができる自然環境、社会環境の整備ということであり、すべての市民にとっても、暮らしやすい環境づくりでもあります。環境基本計画に基づくより良い環境づくり、景観基本計画による景観形成が、ますます重要になってまいります。
子どもが自立して育つ環境の整備とは、輝く街福生、精神的にも満足度の高い街福生づくりでもあります。私たち大人の心の豊かさ、自助、互助の精神を十分に理解した豊かな心により、子どもの自立した育ちが得られるということでございます。
現在、福生の子どもたちの健全な育ちの場について、市民の方々に御検討をお願いしております。仮称ではありますが、ふっさっ子の広場事業として、市民参画のもとに検討を進めていただいております。市民の皆さんとともに、検討から企画、市民主体による実施、検証、継続的な実施まで、市民と行政の総力を挙げて、協働し推進していきたいと存じます。また、子どもを取り巻く環境の分析から始まり、まちづくりや市民自治へと広がることも期待いたしております。

行財政運営について

課題の第3は、後世の市民に負担を残さないことであり、それは、自立、自治の確立であります。環境面や行財政の面では、後年度負担をできる限り減らすことであり、現在を生きる私たちが、我慢できることは我慢するということでございます。
地方分権は、地方分権改革推進法の19年4月施行により、第2期ともいうべき新たな段階に入ります。しかし、それは、国と地方の関係に留まり、市民による自治への段階には至っていない状況もあります。福生市におきましても、市民の主体的な行動エネルギーは、かなり大きくなってきてはいますが、まだまだ、市民自治へと繋がり、分権論議へと拡大してはいない状況でもあります。
市民が、自治体の厳しい財政等の現実を自らの問題として認識し、積極的な市民参加や市民による市政運営の監視を強固なものとしていかなければなりません。そのためにも、「データから見る福生」や、ここで作成いたしました「財政白書」等により、一層の情報の共有を進め、街は市民自らが創っていくものであるという雰囲気、環境を作っていくことが重要であります。
行政と市民、民間が、それぞれの役割分担を明確化し、協働して、自助、互助、公助という助け合い社会を創っていく、そこから、地域の個性、魅力と活力が生まれ、自治体運営を自らの問題として認識する多くの市民により、福生市の市民満足度が高められ、自立した自治体となるということであります。
福生市は、公共施設の整備など光の部分では成熟期を迎えた市であり、素晴らしい街、暮らしやすい街です。そのことを示す、財政面からの一つの分析資料がございます。バランスシートや行政コスト計算書につきましては、議会へもお示ししておりますが、公会計改革を推進するための民間の研究機関が、全国の自治体の行政コスト計算書の分析結果について、昨年末に公表いたしました。
「住民1人当たりの行政コストと負債の関係」の分析結果として、福生市は、高コスト低負担型と位置づけられております。自治体が、一年間に使った総費用を示す行政コストは、市民にとっては行政サービスの受益額であります。低負担とは、将来の市民負担が低いことであり、現在の福生市の財政運営は、市民にとって、サービスは高く、負担は少ないという分析結果となっております。しかし、ここで注意しなければならないことは、福生市の財政の特殊な状況、つまり「基地交付金」の存在であります。このような特殊事情を除いた場合に、やはり大変厳しい状況であることは言うまでもございません。三位一体改革での税源移譲の問題についても、自前の税源として主体的に活用できる反面、税の徴収率というものを考えなくてはなりません。税源は移譲されても、それを集めるのは地方自治体であり、集められなければ市民サービスを含めた厳しい行政運営をしなければなりません。義務としての納税をしなければ、その分受益は減り、他の市民に迷惑を掛けることになります。
国の地方財政計画においては、地方自治体に一層の自助努力を求め、東京都の予算編成の基本的な考え方においても、都から区市町村への財政支援については、区市町村の自主性、自立性の更なる向上を図るという視点に立ち、補助金の整理合理化、補助率の適正化等の見直しを徹底するとしております。
国からの税源移譲についても、都の補助金等の支援策についても、自立した自治体としての自助努力、主体的な行財政運営が前提となるということであります。
福生市の財政状況は、単年度収支から財政調整基金の取り崩し、臨時財政対策債を除くと、連続してマイナスとなっており、大変厳しい状況であります。
特に、福祉、保健、医療の分野に係る歳出比率が非常に高いわけですが、市民の自立的な健康づくりを促す健康ふっさ21計画や福生病院の改築に沿った健康増進策は、財政という面よりも、自立して、健康寿命を全うできる人生、その人生を送ることができる街づくりとして大変重要であります。福生市地域福祉計画に沿った、障害者、高齢者等、ハンディキャップのある方々への支援、個々の状況に応じた十分な配慮については、申すまでもありません。
借金に頼らない、後年度負担を極力抑えつつ、市民サービスを維持していく、高コスト低負担の自治体と一面では評価される本市の行財政運営について、市民と情報の共有を図りながら、もう一度考えていかなければなりません。
分権型社会とは、市民、自治体自身が、どれだけ一生懸命やるか、努力するかということであります。自立、自治とは、大変厳しいものであることを改めて認識し、私たち自身の意識を変えていかなければ、持続可能な行財政、後世の市民に誇れる行動へと繋がってはいかな「ということでございます。
さて、この歩みを一層確かなものとするためにも、行政の改革を推し進め、骨格の強い行政組織を作らなければなりません。
行政改革の目的は、コストを上げることなく市民満足度を高めることにあり、職員の意識の改革ということも重要でございます。さまざまな分野で能力を持った市民と協働するためには、職員一人ひとりが確かな思い、意識を持って行動することが必要であります。
長期的な視点に立ち、今行動することが、現在の市民、そして将来の福生市民のためになるという確固たる意識を持って仕事をする職員が、行政改革のなかから生まれつつあり、更に増やしていかなければなりません。
また、職員の意識改革とともに、職員一人ひとりの能力を生かすことのできる組織、制度というものも重要であることから、組織改正とともに人事考課制度、給与構造改革にも取り組んでまいります。
新年度に実施する組織改正は、現行の組織の検証、評価に基づき、緊急に対応しなければならない課題の把握等を行い、第4次行政改革大綱の推進、市民サービスの向上や新しい公共分野への対応など、市民に開かれた新庁舎の完成を期に、組織として可能な限り対応できることを目的といたしております。
基本的には、総合的な子育て支援や総合窓口、安全安心まちづくりへの対応組織として、また職員配置では、重点課題への対応、通常業務内での職員技能の継承並びに計画的な新規職員の採用等を考慮する長期的視点での改正とし、緊急の課題や多様化する市民要望等への的確な対応を図ってまいります。

心の豊かさの追求について

次に、第4の課題、心の豊かさの追求ということでございます。
国家の品格という本がベストセラーとなり、美しい日本ということも言われております。それらは、私たちが受け継ぐ、道徳観、普遍的な価値観に立脚する考え方だからこそ、心に響いてまいります。
将来の人々に誇りうる生き方をするということは、現在の私たちの生き方、行動が未来の社会や自然環境に、どのように反映されるかということであります。
今、懐かしさと誇りを持って語られる昭和の時代、そこに生きた人々は、決して豊かではない生活環境を甘受しつつ、未来の豊かな日本、子どもたちが生きる豊かな未来を信じて暮らし、働いておりました。その未来に私たちは生きております。
お金や物に捉われず、働けること、家族と暮らせること、子どもに夢を託せることに喜びを見出したであろう社会では、社会規範意識、普遍的な価値観が、人々のなかにあり、自助、互助の精神が日々の暮らしを支えていたと思います。
現在の豊かな生活環境を否定するものではありません。しかし、いつの頃からか、道徳観や社会規範意識の低下という問題が、深刻に論じられてきております。
法律を守らないことは論外としても、公共の施設への落書き、破損、電車などでのマナーの欠如、そして給食費の不払い、安全安心のまちが脅かされる状況等、モラルの低下は、数え上げればきりがありません
人を思いやる心、お互いに助け合うことは、いつの時代であっても変わらぬ価値であり、私たちの行動の規範であります。
今こそ、この普遍的な価値観を持って、市民として自立し、お互いに協力し、協働する心の豊かさを追求することが必要な時であります。
そのためには、情報を共有し、議論し、行動するなかで、市民としての個の確立を図っていくこと、即ちさまざまな形で繋がりあい、学びあうこと、そこからしか、心豊かな人間としての自己形成は、始まらないと考えています。

19年度の主要な事業

続きまして、各分野における考え方と新年度の主な事業について申し上げます。

教育、文化の分野

はじめに、教育、文化の分野でございますが、引き続き、教育委員会の主体的な活動への支援を行うとともに、この分野が、精神的にも豊かな生活構築のために大変重要であるとの認識のもと、施策を推進してまいります。
さて、最悪の結果として表面化した「いじめ」問題でございますが、教育委員会では、学校、家庭、地域との連携を深め、さまざまな対策を講じております。
しかし、福生市における子どもの環境を考えた場合、本市の影とも言える部分も大きく影響しており、社会環境整備、まちづくりの視点からも対策を進めてまいります。また、心豊かな市民形成の支援として、生涯学習の環境整備にも努めてまいります。
新年度におきましては、すべての子どもの健全育成を目的とした「ふっさっ子の広場(仮称)事業」やさまざまな体験をすることにより自立した、力のある子どもを育てる「子ども体験塾」の実施など、また、学力向上対策として、小学校第1学年の国語と第3学年の算数に配置しております小学校授業指導補助員を、第1学年から第3学年までの国語、算数指導に拡大いたし、個々の能力に応じたきめ細かい指導を進めてまいります。軽度な発達障害のある児童、生徒への特別支援教育の充実を図るため、現在、小学校2校に設置しております通級指導学級を、福生第二中学校にも設置いたし、小学校から中学校までの継続的支援を図ってまいります。また、武蔵野台テニスコート改良事業など、体育施設の整備充実にも取り組んでまいります。

福祉、保健、医療の分野

次に、福祉、保健、医療の分野でございますが、この分野では、制度改革が大きな流れとして進んでおります。基本的な方向性としては、介護予防、健康増進へと向かっており、市といたしましても、福祉部長を本部長とする「事業推進本部」を立ち上げ、健康ふっさ21計画に基づく、全庁的な施策を推進してまいりたいと考えております。また、「子どもの育ち」での重要な役割を担う保育園につきましては、多様なニーズへの対応、市民サービスの向上に向けて、民間能力の最大限の活用等を含め、支援施策を進めてまいります。
子どもの健やかな成長と社会性の育成、保育環境の確保という面から重要な地位を占めております児童館及び学童クラブについては、地域での子育て拠点として、ますますその重要性は高まっております。そのため、新年度から指定管理者制度、民間活力の導入により、開館時間の延長、事業の多様化等による利用者の利便性の向上とともに、子どもと親、地域住民がともに育ち、支えあう場づくりを進め、子ども家庭支援のネットワークの一つとして、総合的な子育て施策の一翼を担う体制としてまいります。
「いじめ」「虐待」などの問題を、数値として明らかにする子ども家庭支援センターの相談実績は、17年度開設後の9か月間では、501件でありましたが、18年度の12月までの9か月間で、既に1,000件を超えております。そのなかでも、児童虐待の相談件数は、およそ3倍へと増加しておりまして、本市の児童が置かれている生活環境というものに愕然がくぜんとする思いでございますが、数値に表れていない部分もあると考えられ、早急に支援のネットワークの構築、充実を図らなければならないと考えております。そのため、子ども家庭支援センターを先駆型にしていくこととし、その移行準備のため、職員を増員配置してまいります。また、子どもの育ち、家庭への支援の強化、総合的な子育て支援組織として、子ども家庭部を新設してまいります。
新年度では、制度改正への的確な対応を進めるとともに、乳幼児から高齢者、すべての市民の健康増進についての全庁的な取り組みの推進、児童手当の増額や新規事業としての義務教育就学児医療費助成事業などの子育て支援策につきましても進めてまいります。
福生病院の建替え事業につきましては、20年度一部オープンに向けて進めていくこととなっております。

都市基盤整備の分野

次に、都市基盤整備の分野でございますが、暮らしやすい環境の構成要因の一つとして、都市景観というものも重要でございます。18年度には、市民の方々の主体的な策定活動と行政の側面支援の協働により、福生市まちづくり景観条例が制定されました。前文の一語、一文に、福生市に暮らし、まちを愛する市民の方々の想いが込められ、次代の市民に、美しいまちを引き継ぐ決意があふれております。これからは、このルールに基づき、私たち一人ひとりが、意識を持って行動することが必要でございます。
暮らしやすい環境の構成要因の二つとしては、日々の生活の拠点、あたたかい家庭を包む住宅があります。本市における住宅の質などの問題は、定住対策としても、防災対策としても緊急の課題となっており、また財政面への影響等重点的に取り組まなければならない課題であります。現在策定中の住宅マスタープランや既存建築物耐震改修等促進計画に基づき、組織の強化も含めて、早急に取り組んでまいります。
主な新規事業といたしましては、昭和56年制定の新耐震基準以前の住宅、建築物の耐震化促進を図るための耐震診断助成事業、車両通行の安全確保及び歩道のバリアフリー化を目的としての田園地区を南北に縦断する市道幹線2-18号線の改良事業や新堀橋から宮本橋までの市道1185号線の整備などを予定しております。

生活基盤整備の分野

生活基盤整備の分野でございますが、幸いにも福生市は、大きな自然災害に見舞われたことはございません。しかし、自然災害は必ず来るという意識を持ち、日々の対策を講じることが必要でございます。緊急時に、的確な情報を市民に周知し、避難行動を迅速に進めるための防災行政無線施設のデジタル化では、電光表示板等の情報伝達方法の多様化も含め、新年度から改良事業を実施してまいります。また、広域的な防災訓練も重要なことから、都と連携した訓練も実施してまいります。
全市民に配布いたしました、防災マップ、洪水ハザードマップにつきましては、日々の暮らしのなかで、努めて意識していただくなど、市民意識の啓発を図ってまいります。
しかし、自然は災害の脅威としてだけではなく、暮らしに、心に潤いをもたらすものでもあります。私たちは、自然との共生、自然の一部としての意識を持ち、自然環境を保全することが必要であります。地球温暖化への対策も、私たち一人ひとりの、自然への思いを持った一つ一つの行動の積み重ねが重要でございます。
環境基本計画や地域新エネルギービジョン、詳細ビジョンに基づく計画的な環境対策を進めるとともに、エネルギー供給のベストミックスを目指し、環境負荷の少ない住宅や事業所の拡大、市民の環境意識の向上に取り組んでまいります。なお、この事業につきましては、環境省の補助を受け、市民、商工会、事業者及び行政による福生スクラム・マイナス50パーセント協議会が主体となって進めてまいります。

産業振興の分野

次に、産業の振興の分野でございますが、引き続き、福生市商工会、観光協会との意見、情報交換による産業振興の考え方、方向性などの認識の共有を図りながら、現在の商工業の振興策を推進するとともに、新たな視点での産業の創造について取り組んでまいります。西多摩地域の自治体、商工会で構成される青梅線沿線地域産業クラスター推進協議会や多摩地域の大学、自治体等で構成されるネットワーク多摩などの関係団体との連携、協働による産業の創造、発掘、また、観光資源の発掘、活用につきましても研究し、取り組んでまいります。

構想の推進の分野

次に、構想の推進の分野でございます。
分権型社会での協働の重要性につきましては、今までも申し上げております。市民、市民活動団体と行政が、それぞれの力を出し合って地域課題を解決していく「協働」がなければ、自立した自治体として、分権型社会における地域間競争には勝てないということでございます。
福生市では、市民活動団体との協働に関する指針を定め、全庁的な共通認識と協働の意義の理解を深めることにより、一層の推進を図ることとしております。しかし、現状では、市民、職員それぞれが、未だ協働というものに漠然とした違和感を抱いていることも否めません。お互いの理解不足、協働の捉え方の相違もありますが、自立ということに対する理解が、不十分であることも一つの要因でございます。
自己選択、自己決定、自己責任という考え方、即ち自立というものを、市民、職員がともに理解し、共有すること、そのうえで互助、協働の考え方を理解し、行動することが必要であります。それが、輝く街福生、そして福生市民の幸せに繋がる唯一の道であることに気づき、多くの市民がまちづくりに参画し、ともに汗を流すことが、現在においても、そして将来においても重要であるということでございます。
今までも、自立と協働を柱に、市民フォーラムなどを進めてまいりましたが、今後は、18年度から実施しております職員による市政出前講座を、市民の皆さんに十分活用していただき、情報の共有、自立というものの理解、そして、互助、協働というものの考え方の共有を、更に進めてまいりたいと考えております。また、自立への理解が深まる過程では、自治基本条例のような市民参画、市民自治のルールづくりも必要となりますことから、庁内職員のプロジェクトチームでの市民主体の策定方法の研究、検討をさらに進め、市民との具体的な議論の場へと広げてまいります。
自治体間の互助、協働である広域行政につきましては、引き続き西多摩広域行政圏協議会の一員として、西多摩圏域の個性ある発展と西多摩市民に対するサービス向上のための広域的施策の充実に努めてまいるとともに、大きな広がりを見せる市民の生活圏に対応した新たな広域連携につきましても、更に推進してまいります。
新庁舎建設につきましては、いよいよ仮称第一棟が完成し、新年度からは、新たな環境、新たな気持ちで市民サービスに努めてまいります。完成までには、今しばらくお時間をいただくことになり、議員、市民の皆さんには御迷惑をお掛けいたしますが、御理解を賜りたいと思います。
財政運営の健全化では、財源の確保に向けて、引き続き、市税等収納率向上対策本部を中心に、全庁的な取り組みを進めるとともに、新年度では、市税等の電話催告事業やタイヤロック方式による自動車等の差し押さえ事業、インターネットを活用した公売事業などに取り組んでまいります。

なお、各分野での具体的な事業につきましては、実施計画により明らかにしておりますので、御参照をいただきたいと存じます。

結び

現在そして将来にわたって、すべての福生市民が、輝きを持続させ、精神的なやすらぎを持って、生き生きと暮らすためには、分権型社会での自立、そして自助、互助、協働ということへの理解を深めることが前提でございます。
将来の福生市民への負担をできる限り減らすこと、力のある子どもたちを育てることが、今を生きる私たちに課せられた責務であり、その明確な意思に基づき行動することが必要であります。
私といたしましては、市民から負託された大きな責任を自覚し、現在そして将来の市民のためにという思いを持って、市民、職員とともに、議会の御決定をいただきながら、市政運営に取り組んでまいる所存でございます。

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