共同親権・養育費・親子交流などに関する民法等改正について

 

ページ番号1020891  更新日 令和8年1月28日 印刷 

令和6年5月、父母が離婚した後も子どもの利益を確保することを目的に、民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)が成立しました。
この法律は、子どもを養育する親の責務を明確化するとともに、親権、養育費、親子交流などに関するルールを見直すもので、令和8年4月1日に施行されます。

※このページは、法務省民事局作成パンフレット『父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました』等の内容を引用し作成しています。

1 親の責務に関するルールの明確化

親の責務に関するルールの明確化

ポイント

  • 父母が、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責務を負うことなどが明確化されています。

【こどもの人格の尊重】

こどもの意見に耳を傾け、その意見を適切な形で尊重することを含め、こどもの人格を尊重しなければなりません。

【こどもの扶養】

親権や婚姻関係の有無にかかわらず、父母は、こどもを扶養する責務を負います。
この扶養の程度は、こどもが親と同程度の水準の生活を維持することができるようなものでなければなりません。

【父母間の人格尊重・協力義務】

父母は、こどもの利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければなりません。
次のような行為は、義務に違反する場合があります。

  • 父母の一方から他方への暴行、脅迫、暴言等の相手の心身に悪影響を及ぼす言動や誹謗中傷、濫訴など
    ※「濫訴(らんそ)」・・・みだり(むやみやたら)に訴訟を起こすこと。
  • こどもと同居している親による日常的な監護に、別居している親が不当に干渉すること
  • 父母の一方が、特段の理由なく他方に無断でこどもを転居させること
  • 父母間で親子交流の取決めがされたにもかかわらず、その一方が、特段の理由なく、その実施を拒むこと

(注)父母の一方が父母相互の人格尊重・協力義務等に違反した場合は、家庭裁判所による、「親権者の指定・変更の審判」、「親権喪失・停止の審判」等において、その違反の内容が考慮される可能性があります。

【こどもの利益のための親権行使】

こどもの面倒をみたり、こどもの財産を管理するなどの親権は、「こどもの利益」のために行使しなければなりません。

 

2 親権に関するルールの見直し

親権に関するルールの見直し

(1)離婚後の親権者について

ポイント

  • 父母の離婚後の親権者の定めの選択肢が広がり、離婚後の父母双方を親権者《共同親権》と定めることもできるようになります。
    ※これまでの民法では、離婚後は、父母の一方のみを親権者《単独親権》と定めなければなりませんでした。

【親権者の定め方】

《父母の協議による離婚の場合》

父母が、その協議により、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。

《父母の協議が調わない場合、裁判による離婚の場合》

家庭裁判所が、父母とこどもとの関係や、父と母との関係など様々な事情を考慮した上で、「こどもの利益」の観点から、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。
ただし、次のような場合には、家庭裁判所は必ず単独親権の定めをすることとされています。

  • 虐待のおそれがあると認められるとき
  • DVのおそれ、その他の事情により父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき など
    ※「虐待」「DV」は、殴る、蹴るなどの身体的なものに限定されません。

【親権者の変更】

「こどもの利益」のため必要があると認めるときは、家庭裁判所が、こども自身やその親族の請求により、親権者の変更をすることができます。
※離婚前の父母間に、一方からの暴力等があり、「対等な立場での合意形成が困難」であったようなケースでは、こどもにとって不利益となるおそれがあるため、この手続によって親権者の定めを是正することができます。

 

(2)父母双方が親権者《共同親権》である場合の親権の行使方法(ルール)について

ポイント

  • 父母双方が親権者である場合の親権の行使方法のルールが明確化されています。
  1. 親権は、父母が共同して行います。ただし、父母の一方が親権を行使することができないときは、他方が行います。
  2. 次のような場合は、親権の単独行使ができます。
    ・監護教育に関する日常の行為をするとき
    ・こどもの利益のため急迫の事情があるとき
  3. 特定の事項について、家庭裁判所の手続で親権行使者を定めることができます。
    ※改正前は、1のみが規定されており、2・3の規定はありませんでした。

【監護教育に関する日常の行為】

日常の行為に当たる場合、当たらない場合の例

日常の行為に当たる例(単独行使可) 日常の行為に当たらない例(共同行使)
  • 食事や服装の決定
  • 短期間の観光目的での旅行
  • 心身に重大な影響を与えない医療行為の決定
  • 通常のワクチンの接種
  • 習い事
  • 高校生の放課後のアルバイトの許可
  • こどもの転居
  • 進路に影響する進学先の決定
  • 進学または就職等の判断
  • 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
  • 財産の管理

【こどもの利益のため急迫の事情があるとき】

「父母の協議」や「家庭裁判所の手続」を経ていては親権の行使が間に合わず、「こどもの利益」を害するおそれがある場合をいいます。急迫の事情があるときは、日常の行為にあたらないものについても、父母の一方が単独で親権を行使することができます。

急迫の事情の例
  • DVや虐待からの避難をする必要がある場合
  • こどもに緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合
  • 入学試験の結果発表後に入学手続の期限が迫っている場合 など

【親権行使者の指定】

父母が共同して親権を行使することとされている特定の事項(こどもの転居、財産管理など)について、父母の意見が対立するときは、家庭裁判所が、父または母の請求により、父母の一方を当該事項に係る親権行使者に指定することができます。
この親権行使者は、その事項について、単独で親権を行使することができます。

 

(3)監護について

ポイント

  • 父母の離婚後のこどもの監護に関するルールが明確化されています。
    ※「監護」とは・・・こどもと共に生活をして日常の身の回りの世話や教育を行うことなど

【監護の分担(父母で分担し監護する場合)】

父母が離婚するときは、こどもの監護の役割について、定めをすることができます。
その際は、「こどもの利益」の優先を考慮する必要があります。

監護の分担の例
  • 平日は父母の一方がこどもの監護を担当し、土日祝日は他方が担当する。
  • こどもの教育に関する決定は同居している親に任せるが、その他の重要な事項については、父母が話し合って決める。

【監護者の権限(父母どちらか一方を監護者とする場合)】

離婚後の父母双方を親権者《共同親権》とした場合であっても、その一方を「監護者」と定めることで、こどもの監護を、父母のどちらか一方に委ねることができます。
このような定めがされた場合の「監護者」は、日常の行為に限らず、こどもの監護教育や居所・職業の決定を、単独で行うことができます。
※「監護者」ではないもう一方の親権者は、監護の妨害をしてはいけませんが、親子交流の機会等に、「監護者」による監護等を妨害しない範囲であれば、こどもの監護をすることができます。

 

3 養育費の支払確保に向けた見直し

養育費の支払確保に向けた見直し

ポイント

  • 養育費の取決めに基づく民事執行手続が容易になり、取決めの実効性が向上します。
  • 法定養育費の請求権が新設されます。
  • 養育費に関する裁判手続の利便性が向上します。

【合意の実効性の向上】

《改正前》
これまでの民法では、父母間(同居親と別居親)で養育費の支払を取り決めていたとしても、別居親が養育費の支払を怠った際、別居親の財産を差し押さえるためには、公正証書、調停調書、審判書などの「債務名義」が必要でした。

《改正後》
今回の改正により、養育費債権に「先取特権」と呼ばれる優先権が付与されるため、公正証書、調停調書、審判書などの「債務名義」がなくても、養育費の取決めの際に父母間で作成した私的な文書に基づいて、差押えの手続を申し立てることができるようになります。
※法改正施行(令和8年4月1日)前に養育費の取決めがされていた場合には、法改正施行後に生ずる養育費に限ってこの改正が適用されます。

【法定養育費】

これまでの民法では、「父母の協議」や「家庭裁判所の手続」により養育費の額を取り決めなければ、養育費を請求することができませんでした。
今回の改正により、離婚のときに養育費の取決めをしていなくても、離婚のときから引き続きこどもの監護を主として行う父母は、他方に対して、一定額の「法定養育費」を請求することができるようになります。
※「法定養育費」の支払がされないときは、差押えの手続を申し立てることもできます。

【裁判手続の利便性向上】

  • 養育費に関する裁判手続では、各自の収入を基礎として、養育費の額を算定することとなります。今回の改正では、手続をスムーズに進めるため、家庭裁判所が、当事者に対して収入情報の開示を命じることができることとしています。
  • 養育費を請求するための民事執行の手続においては、地方裁判所に対する「1回の申立て」で、下記の一連の申請をすることができるようになります。
    (1)財産開示手続:養育費の支払義務者は、その保有する財産を開示しなければならない
    (2)情報提供命令:市区町村に対し、養育費の支払義務者の給与情報の提供を命じる
    (3)債権差押命令:判明した給与債権を差し押さえる

 

4 安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し

安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し

ポイント

  • 家庭裁判所の手続中に親子交流を試行的に行う制度が新設されます。
  • 「婚姻中の父母が別居している場面」における親子交流のルールが明確化されます。
  • 「父母以外の親族(祖父母等)」と「こども」との交流に関するルールが新設されます。

【親子交流の試行的実施】

家庭裁判所は、調停・審判において、「こどもの利益」を最優先に考慮して親子交流の定めをします。
その際、適切な親子交流を実現するため、様々な調査や父母との調整を行いますが、その手続中、家庭裁判所の判断等により親子交流を試行的に実施し、その状況や結果を把握します。

手続

内容

(1)調査の必要性等を検討 家庭裁判所は、こどもの心身の状況に照らして相当であるか、調査の必要性があるかなどを考慮して、親子交流の試行的実施を促すか否かを検討します。
(2)試行的実施の促し

家庭裁判所は、(1)の検討を踏まえ、当事者に対して、親子交流の試行的実施を促します。

その際、家庭裁判所は、実施の条件(日時、場所、方法等)を決めたり、約束事項を定めることができます。

(3)試行的実施【親子交流の実施】

当事者は、家庭裁判所からの促しに応じて、親子交流を試行的に実施します。
(4)家裁調査官調査・結果報告 親子交流の試行的実施の状況や結果は、家庭裁判所調査官による調査や、当事者である父母自身による報告を通じて、家庭裁判所と父母との間で共有されます。
(5)更なる調査・調整 家庭裁判所は、(4)の結果を踏まえ、調定の成立や審判に向けて、必要に応じて更に調査や調整を行います。

【婚姻中別居の場合の親子交流】

父母が婚姻中に、様々な理由により、こどもと別居することがありますが、これまではそのような場合の親子交流に関する規定がありませんでした。
今回の改定では、次のルールを明らかにしています。

  1. 婚姻中別居の場合の親子交流については父母の協議により定める。
  2. 協議が成立しない場合には、家庭裁判所の審判等により定める。
  3. 1及び2に当たっては、「こどもの利益」を最優先に考慮する。

【父母以外の親族とこどもの交流】

これまで民法には、「父母以外の親族(祖父母等)」と「こども」との交流に関する規定はありませんでした。
しかし、祖父母等とこどもとの間に親子関係に準ずるような親密な関係があったような場合には、父母の離婚後も、交流を継続することがこどもにとって望ましい場合があります。
そこで、今回の改正では、「こどもの利益」のため特に必要があるときは、家庭裁判所は、父母以外の親族とこどもとの交流を実施するよう定めることができることとしています。

「父母以外の親族とこどもの交流」をするかどうかを決めるのは、原則として父母ですが、父母の一方が死亡したり行方不明になったりした場合など、ほかに適当な方法がないときは、次の1から3の親族が、自ら、家庭裁判所に申立てをすることができるようになります。

  1. 祖父母
  2. 兄弟姉妹
  3. 1及び2以外で過去にこどもを監護していた親族

5 財産分与に関するルールの見直し 

財産分与に関するルールの見直し 

ポイント

  • 財産分与の請求期間が2年から5年に伸長されます。
  • 財産分与において「考慮すべき要素」が明確化されます。
  • 財産分与に関する裁判手続の利便性が向上します。

【財産分与の請求期間】

財産分与は、夫婦が婚姻中に共に築いた財産を、離婚の際にそれぞれ分け合う制度です。
まずは、夫婦の協議によって決めますが、協議が成立しない場合は、家庭裁判所に対して財産分与の請求をすることができます。
これまで、この財産分与の請求をすることができる期間が、「離婚後2年」に制限されていましたが、今回の改正により、「離婚後5年」を経過するまで請求できるようになります。

【財産分与の考慮要素】

これまで民法では、財産分与に当たってどのような事情を考慮すべきか、明確に規定されていませんでした。
今回の改正では、財産分与の目的が各自の財産上の衡平を図ることであることを明らかにした上で、以下の考慮要素を例示しています。

  • 婚姻中に取得または維持した財産の額
  • 財産の取得または維持についての各自の寄与の程度 ⇒ 原則2分の1ずつ
  • 婚姻の期間
  • 婚姻中の生活水準
  • 婚姻中の協力及び扶助の状況
  • 各自の年齢、心身の状況、職業、収入

このうち「財産の取得または維持についての各自の寄与の程度」については、直接収入を得るための就労だけでなく、家事労働や育児の分担など様々な性質のものが含まれることから、寄与の程度は、原則として夫婦対等(2分の1ずつ)とされています。

【裁判手続の利便性向上】

財産分与に関する裁判手続では、分与の対象となる財産の種類や金額を明らかにする必要があります。
今回の改正では、手続をスムーズに進めるために、家庭裁判所が、当事者に対して財産情報の開示を命じることができることとしています。

 

6 養子縁組に関するルールの見直し

養子縁組に関するルールの見直し

ポイント

  • 養子縁組がされた後に、誰が親権者になるかが明確化されます。
  • 養子縁組についての父母の意見対立を調整する裁判手続が新設されます。

【養子縁組後の親権者】

未成年のこどもが養子になった場合には、養親がそのこどもの親権者となり、実親は親権を失います。複数回の養子縁組がされた場合には、最後に養子縁組をした養親のみが親権者となります。
離婚した実父母の一方の再婚相手を養親とする養子縁組の場合には、養親(再婚相手)とその配偶者である実親が親権者となります。この場合には、実父母の離婚後に共同親権の定めをしていたとしても、他方の親権者は親権を失います。

【養子縁組についての父母の意見調整の手続】

今回の改正では、養子縁組の手続に関する父母の意見対立を、家庭裁判所が調整するための手続を新設しています。

 

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