平成28年度施政方針

 

ページ番号1000624  更新日 平成28年8月9日 印刷 

平成28年第1回福生市議会定例会における市長の平成28年度施政方針です。

はじめに

平成28年第1回市議会定例会に当たり、貴重なお時間をいただきまして、私の施政方針を申し述べさせていただきますことを、心から感謝申し上げます。
毎年、第一回定例会で施政方針を述べさせていただく機会をいただいておりますが、市長としての2期目の任期も残すところあと3か月弱となってまいりました。
思い起こせば、私が野澤久人前市長から市政運営の襷を引き継いだ平成20年は、アメリカの証券会社第4位のリーマン・ブラザーズが破たんしたことに端を発して、世界的金融危機が発生したいわゆるリーマンショックが起き、また、アメリカ大統領選挙では、民主党のバラク・オバマ氏が第44代アメリカ合衆国大統領に選ばれた年でもありました。
このように、その後の世界情勢に大きく影響を与えることとなる出来事があった年ではありましたが、私の最も印象的な思い出の一つが初登庁の日のことでございます。
初登庁の時は、緊張と期待を胸に登庁いたしましたが、玄関先で花束を受け取り、支持者や職員からの拍手の中、市長室に向かいましたが、市長室では改めて一生懸命やろうという気持ちが湧き、市民の期待に必ずやお応えしたいと強く思ったものでございます。ただ、「市長のいす」だけは、市長の重責からか、座り心地はあまり良くなかったことを覚えております。
あれから間もなく2期8年を終えようとしておりますが、私が就任した当時の理事者やほとんどの部長は、私より年上でありましたが、既に全員が退任あるいは退職し、今は全員が年下となっておりますので、それだけでも8年という時の流れを感じております。
この間、市民の皆様の誰もが未来に向かって夢を持ち、ずっと住み続けたいと思えるまちづくりに向け、全力で取り組んでまいりましたが、市政運営のさまざまな場面で、議員並びに市民の皆様に多大なる御指導、御支援、御協力を賜り、改めて厚く御礼を申し上げます。

この一年を振り返って

世界の情勢について

さて、この1年を振り返りますと、世界を取り巻く状況は、シリアの政情不安に端を発した中東危機や、イスラム過激派による相次ぐテロなどにより、相変わらず混沌としております。
昨年の1月には、過激派組織ISが日本人2人を拘束し、身代金を要求するビデオを公表した後、殺害するといった大変痛ましい事件が起こりました。
また、パリでは、11月に過激派の戦闘員とみられる複数のグループが中心部のコンサートホールや北部のサッカー場などを標的とした同時多発テロを起こし、死者130名、負傷者300名以上が犠牲となりました。
今年に入ってからも、北朝鮮が水素爆弾実験に成功したとの発表をいたしております。さらに、北朝鮮は先月の7日に事実上の長距離弾道ミサイルを発射いたしました。
これらの行為は、世界平和と安定を脅かすものであり、強い懸念と激しい憤りを覚えるものであります。
私は、市民の安全、安心を守る立場でございますので、今後とも、市民の生命と安全の確保を最優先とし、国、東京都及び関係機関と充分な協力体制を構築し、市民への迅速な情報提供に努め、万全な対策を図ってまいる所存でございます。

国内の情勢について

一方、国内に目を向けますと、安倍首相は、昨年9月の記者会見で、次の3年間を「アベノミクスの第2ステージ」と位置付け、「一億総活躍社会」を目指すと宣言いたしました。少子高齢化に歯止めをかけ、50年後も人口1億人を維持し、家庭・職場・地域で誰もが活躍できる社会を目指すというもので、 記者会見で同時に発表したアベノミクスの新しい「3本の矢」を軸に、経済成長、子育て支援、安定した社会保障の実現を目指すというものでございます。
その後、国は、その取組みを具体的に推進するため、一億総活躍社会の実現に向けた緊急対応として、本年1月に成立した平成27年度補正予算におきまして、地方創生加速化交付金を創設いたしました。
さらに、新年度に向けても、地方創生に向けた新型交付金の創設を計画しておりますので、福生市といたしましても、情報収集を積極的に行うとともに、交付金等の活用に向けた取り組みを積極的に行ってまいりたいと考えております。
そして、まもなく東日本大震災から5年が経とうとしておりますが、未だに避難所生活などを余儀なくされている方々も多くいらっしゃいます。被災地の一日も早い復興をお祈りするとともに、この未曽有の災害を風化させてはならないと強く思うところでございます。ただ、残念ながらその後も日本各地で災害が起き、昨年も多くの自然災害が起きております。
5月には、鹿児島県口永良部島(くちのえらぶじま)の新岳(しんだけ)が噴火し、噴火警戒レベルが導入されてから初となる噴火レベル5を記録し、また、6月には箱根山でも噴火レベルが3に引き上げられ、入山規制が行われホテルのキャンセルが相次ぐなど周辺観光産業に大きな被害が出ております。
特に、記憶に残っておりますのは、9月の大雨被害でございます。これは、台風18号と前線の影響で、関東から東北地方にかけて大雨をもたらし、鬼怒川の堤防が決壊するなど甚大な被害が出ております。
不幸にも犠牲になられた方々の御冥福をお祈りするとともに、1日も早い復興をお祈り申し上げます。
幸いにも、福生市では人命にかかわるような大きな被害はございませんが、「備えあれば憂いなし」の信念のもと、引き続き、災害に強いまちづくりを強く推し進めてまいる所存でございます。

一方、明るいニュースもございました。国内のスポーツの分野では、ラグビーワールドカップで、日本代表チームが、世界ランク3位の南アフリカを破るという歴史的勝利を収めました。残念ながら3勝を挙げたにも関わらず、決勝トーナメントには進むことができませんでしたが、私も夜中まで、テレビの前で応援し、大いに感動いたしました。
学術分野では、10月5日にノーベル生理学・医学賞に大村智(さとし)氏が、その翌日にはノーベル物理学賞に梶田(かじた)隆章(たかあき)氏が、それぞれ受賞されました。2日続けての受賞は、日本人の活躍が世界に大いに認められた瞬間でありましたが、私といたしましては、今後、福生市にゆかりのある方が、ノーベル賞を受賞する日がくることを期待するものでございます。

福生市の消防団が消防操法大会で優勝!

また、福生市での明るいニュースといたしますと、その一つが福生市の防災行政に欠かすことができない消防団の活躍でございました。9月に開催された西多摩地区消防大会では第五分団が、10月に開催された第45回東京都消防操法大会では第三分団が出場し、それぞれ優勝という快挙を成し遂げ、福生市が素晴らしい消防団に守られた安全安心なまちであることをアピールしてくれました。今年は東京都の代表として、長野県で行われる全国大会への出場が決定しておりますので、そこでも大いに活躍していただくことを心から願っております。
さらに、消防団関係では、大災害時における自助・共助の地域防災力の強化と、人的被害の軽減等を図るため、長年、福生市消防団に在籍し、知識・経験・技術を持ち合わせた消防団OBによる団体、「福生市災害活動応援隊」が今年1月の福生市消防団出初式におきまして発足いたしました。通称名は、OBの復活にかけ、福生の「福」、災害活動の「活」をとって、「福活(ふっかつ)隊」でありますが、全員が消防団OBの方々でございますので、大いに御期待をし、また、非常に頼もしく思っております。

子育てしやすいまち、全国2位!

もう一つは、日経デュアルと日本経済新聞社が実施した「自治体の子育て支援に関する調査」の結果、共働き子育てしやすい街ランキングで全国2位となりました。
「子育てするなら福生」の合言葉のとおり子育てしやすい街として、世の中に認められた瞬間であり、さまざまな機関が実施してきた施策、ボランティアの方々などの努力が評価された結果であると、大変うれしく思っております。
また、福生市は平成14年をピークに人口減少が続いておりますが、平成23年度以降、転出が転入を上回る、いわゆる「社会減」が改善傾向に転じております。これも子育て施策が評価されている表れの一つであると感じております。
今後も、「子育てするならふっさ」を合言葉に、子育て世代を応援する取り組みの充実を図ってまいります。

これまでの市政運営について

さて、私は、これまでの間、全力投球で市政運営に当たってまいりましたが、ここで、これまでの市政運営を振り返り、その取り組みの一端を申し述べさせていただきます。
私が市長に就任した1期目では、私は市民の皆様に、「まちに5つの元気を」を行政運営の基本に据えて市政運営を行い、このまちに元気を与えたいという強い思いを込め、我がまち福生が活力にあふれ、市民の皆様が安全安心に心豊かに生活し、将来にわたって暮らしたいと思えるまちの実現をお約束いたしました。
この「5つの元気」、5G施策を、より実効性のあるものとするため、組織面での強化や庁内ワーキングチームの設置など、施策実現のための体制を整えた上で、具体的な取り組み事項について検討し、事業計画に基づき実施してまいりました。
私がマニフェストに掲げた事項は30項目でございましたが、ワーキングチームで検討を加え、最終的には133の施策、事業を実施してまいりました。

次に、2期目の市政運営についてでございますが、一言で表しますと、「人口減少への対応」でございます。
2期目におきましては、1期目に実施いたしました「福生市商店街振興基本調査」や「選ばれ続けるまちへの基本戦略プラン」の策定などから明らかになった最大の行政課題である人口減少に対応する定住化を進めることといたしました。
そこで、平成25年度には「まちづくり総合活性化研究」を行っております。この研究は、公益社団法人学術・文化・産業ネットワーク多摩と共同で実施をいたしましたが、この研究から、若い世代の女性やファミリー世帯の流出を抑制すれば、20年後には約4千人の人口の流出抑制が図れることが分かりましたので、これらを踏まえ策定いたしましたのが定住化対策の取り組みでございます。
この取り組みは、基本的な考え方を「子育て世代の転出抑制、転入促進」、「生産年齢期の健康促進、高齢者の介護予防等、健康維持」と定め、住宅・福祉保健・教育・生活安全・産業観光の5つのジャンルで施策を進めるもので、「新5G」施策として重点的に取り組むことといたしました。今現在、合計で105の事業に取り組んでおりますが、分野ごとにその取り組みの一部を申し述べさせていただきます。

新5G施策について

住宅施策

まず、住宅施策分野では、「子育て世代の受け皿となる良質な住宅を確保する」ことを目標に掲げ、「優良住宅供給促進施策」、「良好な住環境整備施策」に取り組んでおります。具体的な事業として、ファミリー世帯向け住宅建替促進のための既存住宅除却費助成事業や優良住宅取得推進事業では、耐震性の低い空き家の除却を支援するとともに、ファミリー世帯が暮らしやすい良質な住宅の確保を支援しております。また、市道幹線II‐10号線銀座通り改良事業、市道幹線II‐14号線五丁橋通り改良事業、市道幹線II‐19号線加美立体通り改良事業、大規模公園の適正管理を図る公園緑地整備事業などを実施し、住宅を取り巻く環境整備に努めてまいりました。
特に、五日市街道の拡幅及び横田基地引込線踏切信号機の設置に関しては、国道16号線付近の渋滞解消や福東地域の交通安全対策として、東京都に対して全面的に協力するとともに、東京都に代わり横田基地及び防衛省に強く働きかけたこともあり、事業が着実に進んでおります。

福祉保健施策

次に、福祉保健施策分野では、「母子保健を含む子育て支援を図ることにより、子育て世代の定着を目指す。現役世代の健康促進とともに、高齢者の介護予防・社会参加の促進により元気を維持し、支える者・支えられる者双方の健康維持を図る。」ことを目標に掲げ、「子育て支援施策」、「健康促進施策」、「高齢者元気施策」に取り組んでおります。具体的な事業として、延長保育や一時預かり保育、休日保育の充実、学童クラブ育成時間の延長や対象児童の拡大、育児の相互援助活動の拠点として、子ども家庭支援センター内にファミリー・サポート・センターの設置や、お子さんの誕生を心からお祝いし、絵本を贈呈するとともに読み聞かせを行い、子育てを支援する「赤ちゃんはじめての絵本事業」。また、病気で集団保育や家庭での保育が困難な児童を医療機関に付設された専用室で保育を行い、保護者の子育てと就労の両立を支援する「病児保育運営委託事業」は、共働きの子育て世代に大変喜ばれております。そして、地域包括ケアシステムの構築に向け、市内を福生、熊川の2地区に分け、熊川地区に委託型の地域包括支援センターを新たに設置し、事業を運営委託する「委託型地域包括支援センター事業」などを実施いたしております。

教育施策

次に、教育施策分野では、「子育て世代の定住の誘因となる質の高い魅力ある教育を進める」ことを目標に掲げ、平成27年4月1日より、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正に伴い、本市においても新たな教育委員会制度のもと総合教育会議を設置して教育大綱を策定し、これまで以上に教育委員会との連携を強化しております。
具体的には、後程教育長から述べますが、「魅力ある学校づくり施策」、「生涯学習社会推進施策」、「家庭・地域の教育力向上施策」等、策定した教育大綱の実現のため、より一層前進させたいと考えています。
学校教育においては、福生市の特長である和と洋の文化が織りなす環境を生かした伝統文化理解推進教育や社会的自立や国際性を備えた人間の育成、そして、個々の子どもに応じたきめ細かい教育の実現を図ります。
特に、英語教育の推進、不登校児童生徒対策、ICT機器活用による家庭学習、個別学習の取組みは、国や東京都に先駆けた開発的な事業として、東京都の教育長が視察されるなどその成果も含めて大きな注目をいただいておりまして、さらなる推進を図ってまいりたいと考えています。
そして、一昨年末に国の登録有形文化財に登録された旧ヤマジュウ田村家の古民家につきましては、保存及び来年度からの一般公開に向け、施設の改修等を行っております。
なお、平成25年度には、東京都で54年ぶりに国民体育大会が開催されました。福生市ではソフトボール競技成年女子が開催されましたが、多くの市民の方々に参加をしていただき、大会を成功裏におさめることができたと思っております。改めまして、皆様方に感謝申し上げます。
そして、2020年には、東京オリンピック・パラリンピックが開催されますので、その際は、国体で培ったノウハウを生かし、体育協会と連携してソフトボール練習場の提供などを含め、市としての方針を決定していきたいと考えております。

生活安全施策

次に、生活安全施策分野では、「生活空間における安全安心の涵養を図る」ことを目標に掲げ、「交通安全施策」、「防災まちづくり施策」、「防犯まちづくり施策」に取り組んでおります。具体的な事業として、児童が通学路において交通事故及び犯罪による被害を受けないよう、見守り体制を整備いたしました。また、これらの見守りを補完するため、通学路に防犯カメラ10台を設置しているところでございます。
また、道路照明灯のLED化については、夜道を明るく照らし、女性や子供たちにとっても安全なまちを実現するため、平成25年度、26年度の2年間で市道のすべて、合わせて3456灯の街灯のLED化を行っております。なお、使用電力の大幅な削減による電力料金の削減もさることながら、二酸化炭素排出量の大幅な削減も実現できました。
防災行政無線につきましては、聞き取りにくいという御家庭に対し戸別受信機を貸し出し、聞き取れなかったという方には音声確認ダイヤルを御案内し、災害情報の伝達の確保を図っております。
さらに、防災マップ、洪水等ハザードマップを作成し、地域防災計画の概要版とともに市内全世帯に配布をし、災害に強い安全・安心なまちづくりを推進しております。
また、多摩川の治水対策につきましては、国土交通省京浜河川事務所に強く働きかけを行い、福生市域内の護岸改修工事や治水整備を実施していただくことができました。

産業観光施策

次に、産業観光施策分野では、「起業・創業の支援や交流人口の増加を図ることにより、まちの活性化を目指す」ことを目標に掲げ、「産業振興施策」、「都市型観光推進施策」に取り組んでおります。具体的な事業として、中小企業者の自主的な経済活動の促進と地位の向上を図ることを目的とした「中小企業振興資金融資制度及び小口零細企業資金融資制度」などを実施してまいりました。
引き続き、中小事業者の資金繰りの安定化を図るとともに、起業者、創業者の支援にも努めてまいります。
観光に関しましては、昨年第65回を迎えた福生七夕まつり、同じく第50回を迎えたほたる祭りやふっさ桜まつり、インターナショナルフェアなど、すべて歴史あるものでございますが、それに加え、市内商店街でもアート祭りやハロウィン、イルミネーション、福生アメリカンハウスなど、さまざまなイベント等を企画し、メディアにも取り上げられるほどでございます。
さらに、シティセールス推進課を設置してからは、「まちなかおもてなしステーション観光案内所くるみるふっさ」の設置や福生ロケーションサービス、福生ドッグの普及にも力を注ぎ、観光の視点から全庁を挙げてまちの魅力の発信に努めており、私が市長就任当初に感じていた「公務員のPR下手」は解消されつつあることを実感しております。

行政改革について

次に、行政改革の取り組みについてでございます。
私が市長に就任した平成20年度の決算における経常収支比率は98.5%でございましたが、平成26年度の決算では91.9%まで下げることができました。これは、人件費などの削減及び収納率向上対策の強化等に取り組んだ成果であると考えております。
職員数につきましては、組織編成の見直し、アウトソーシングの推進などにより、平成20年度からの8年間で、395人だった職員数を、平成28年度当初では376人、19人の削減。さらに、職員給料のマイナス改定、超過勤務の大幅な圧縮などを行った結果、職員人件費は、平成20年度と28年度の当初予算比較では、5億7,764万5千円、15.1%の大幅な縮減を図っております。
なお、このことにより、市民サービスの低下を招くことなく、行政の事務事業は行政でなければできない領域に特化し、既存の事務事業を見直し、評価、点検を行うとともに、民間にできることは民間にお任せするアウトソーシングを進め、市役所のスリム化を図ってまいりました。
これまで、職員に対しては、「全力投球」「フォアボールはいらない、とにかくバットを振れ、三振を怖がらずバットを振り続けろ」と、職務に臨む心構えを野球に例えながら、絶えず話してまいりました。
市の職員には、地方分権が進展する中で、多くの権限や事務が移譲されておりますが、それに対応するためにも個々の職員の能力向上が必要であり、前例踏襲の時代は過ぎ、新しいことに積極的にトライする職員が求められております。
また、今年もこの3月末で、17名の職員が定年退職を迎えます。長きにわたり、市政を支えてくれた職員に感謝の意をあらわすとともに、その経験が後輩職員に円滑に引き継がれ、市民サービスの低下を招かないよう、万全を期してまいります。
私は、毎年、若手職員を中心にメイヤー・アンド・スタッフミーティングを行っております。
このミーティングは、私と若手職員が気軽に話し合うことで、意思の疎通を図り、共通認識のもと、市民の方々のためにまちづくりを共に進めていきたい、という思いからでございますが、私が就任した当時は、課長補佐職以下の職員を対象に、その後は、その年に採用した若手職員に対して行っております。
これまで通算で63回、延べ456人という多くの職員とミーティングを行っておりますので、誰よりも、私が一番職員の顔と名前を知っていると自負もしております。

市政の重要事項について

さて、市政の重要事項について、私の考えを述べさせていただきます。

総合戦略

まずは、「福生市版の総合戦略」についてでございます。
この総合戦略は、まち・ひと・しごと創生法に基づき、将来の人口減少社会に対応するため定住化の推進と、活力ある地域社会を維持していくための中長期的な戦略でありますが、福生市では、新5G施策をベースとして今年度中に策定をいたします。
なお、今後は、単なる目先だけの定住化対策をするのではなく、将来にわたり持続可能な自治体であり続けるために、なぜ、その施策を実施するのか、その意味は何かといった本質を見きわめつつ、この総合戦略を基に、庁内一丸となって取り組んでまいる所存でございます。

新公会計制度

次に、新公会計制度の推進についてでございます。
福生市では、来年度から現行の会計方式である現金主義の単式簿記に加えて、発生主義・複式簿記の会計処理も併せて実施いたします。早速4月1日からの会計処理では新たに日々仕訳が始まりますが、新公会計制度の導入は、東京都内では町田市、江戸川区に続き3番目と、いち早く導入いたしますので、担当者も大変苦労をしておりますが、財務情報を市民にわかりやすく開示することによる説明責任の履行及び財政の効率化・適正化に向け、引き続き、努力してまいります。

マイナンバー制度

マイナンバー制度についてでございますが、この制度の導入によりまして、社会保障や税の給付と負担の公平化、行政事務の効率化、また、申請書などの添付書類が不要となることなどから、市民の利便性の向上や手続の簡素化等の効果が期待されるところでございます。
今後とも、セキュリティ対策の強化を図るとともに、事務手続きの確実かつ円滑な遂行に努めてまいります。

中心市街地活性化

次に、中心市街地活性化についてでございますが、中心市街地の活性化を図ることを目的として福生市商工会が企画及び運営をいたします「(仮称)福生駅西口まちづくり協議会」を支援してまいります。なお、その支援の一環として平成28年度から生活環境部に主幹を1名配置いたします。

防災食育センター(災害時対応施設)

次に、防災食育センター、災害時対応施設についてでございます。
防災食育センターは、災害時の応急給食の実施や避難所の整備、中学校の完全給食の実施、また、アレルギー対応食や生野菜の提供など、多岐にわたる機能を兼ね備えた施設でございますが、平成29年9月の稼働を目指し、本年2月に本体工事に着手したところでございます。今後とも、着実に事業を推進してまいる所存でございます。

横田基地について

次に横田基地についてでございます。

これまでの取り組みについて

福生市は、行政面積の約3分の1を横田基地に提供しており、終戦直後から70年の長きにわたり、基地を抱えた行政運営を行っております。
その存在は、航空機の騒音公害をはじめ、都市計画への影響や地域経済の発展阻害要因となるなど、市民生活に大きな影響を与えております。
また、横田基地は5市1町にまたがっており、自治体ごとに歴史的な経緯がございますことから、それぞれ独自の課題も抱えております。
福生市は、人口密度が高い市街地を形成しており、常に航空機の部品落下などの人命にかかわる事故への懸念や不安を抱え、また、基地の主要な出入口である第2ゲートや第5ゲートが設置され地元商店街や住宅地に面しているなど、市民の日常生活に直結した特有の課題がございます。
このため、私は、騒音防止対策や安全対策の推進、航空機事故の防止など、横田基地の整理・縮小・返還を含めた必要な措置を講ずるよう、事あるごとに国や米軍に対して要請を行い、更に基地周辺の5市1町でも連携して、問題の解決に向けて取り組んでまいりました。
市といたしましては、横田基地は無いことが望ましいのは当然でございますが、安全保障に関しては国家間の協力関係の問題であり、これまで、基地の存在を前提として、現実的に対応してまいったところでございます。

CV-22オスプレイについて

このような状況の中、昨年5月にCV-22オスプレイの横田基地配備計画が、国からの事前説明もなく突然新聞報道されたことは、私といたしましては大変遺憾なことでございした。
私は、報道直後から、市長として、また、横田基地周辺5市1町で連携して、配備計画についての具体的な説明や迅速かつ正確な情報提供等を国や米軍に対して、全力で要請を行ってまいりました。
これに対し国は、配備報道から5か月も過ぎた昨年10月になって、ようやく「CV-22オスプレイの横田基地配備計画に関する環境レビュー」の地元説明を行い、更に「ハワイ州でのMV-22オスプレイの着陸失敗事故に関する調査結果」については、事故から半年も過ぎた昨年11月になって、またも報道が先行し、後日地元自治体への説明が行われましたが、私といたしましては、市民の懸念や不安を払しょくできるような十分な説明は得られていないという認識でございます。
安全保障は国の専管事項であるということは理解しておりますし、先にも申し述べましたが、最近の北朝鮮による人工衛星と称する事実上のミサイル発射訓練や、中国による度重なる領海侵犯といった情勢を鑑みますと、国防に関して、深く考えを巡らすことがございます。しかし、基地に隣接する我が市の市長として、市民の安全・安心の確保については最優先事項でございます。
今後も引き続き、市民の安全・安心の確保に向けて、国や米軍に対して強く要請を行っていくとともに、基地周辺5市1町で十分な連携を図り、基地問題の解決に取り組んでまいる所存でございます。

国との積極的な連携について

なお、これまでを振り返り、横田基地に関して特に印象に残っておりますことは、平成22年12月に閣議決定された中期防衛力整備計画の中で、初めて「航空自衛隊横田基地を新設」と表記された時のことでございます。私といたしましては、この文言は基地機能の更なる強化につながるのではないかとの懸念から、北関東防衛局長、防衛省地方協力局長、政務官等に対して、強く抗議・申入れを行いました。
これに対する国からの回答は「新たな航空機部隊及び航空機が常駐する予定はない」とのことでありましたが、この抗議・申入れを行ったことにより、国が横田基地対策を推進するためには、福生市が最も重要な位置を占めているということを、防衛省に再認識いただいたと理解をしております。
また、東日本大震災の発生により、災害対策の重要性をより強く認識いたしましたことから、横田基地と協議を重ね、平成25年12月には福生市と横田基地との間で防災及び災害対策に関する覚書を締結いたしました。これにより、地震、台風、事故などによる大規模災害が発生した場合における相互の緊急的な救援活動について、協力することとなったものでございます。
更に、災害時対応施設である防災食育センターの建設を計画するに当たっては、用地の確保が大きな課題となっておりましたが、私自ら直接防衛省等に出向き、懸命に交渉を重ねた結果、国有地の無償使用を可能にするなどの政令改正まで実現できましたので、感慨もひとしおでございます。

平成28年度予算について

次に、市の財政状況と平成28年度予算について申し述べます。
平成28年度予算は、将来の人口構造や市民ニーズの変化等を的確に捉え、市民サービスの維持向上を図りつつも、中長期的な視点に立ち、行政のスリム化を図る視点に立ち、また、防災食育センター整備事業やもくせい会館建設事業、都市計画道路3・4・7号富士見通り線など大規模事業が本格的に始まることから、防衛補助をはじめとした国庫支出金、都支出金など、特定財源をフルに活用し、一般財源からの持ち出しを極力抑え、市民サービスの低下を招くことのないよう編成いたしました。
その結果、一般会計の予算規模は248億8000万円となり、前年度比で21億3000万円、9.4%の増でございますが、一般財源の比較では、8491万8千円、0.6%の増に抑えております。
予算編成に当たりましては、財政調整基金の取り崩しや臨時財政対策債の借り入れを可能な限り圧縮する方針のもと、作業を進めてまいりましたが、市税が大きく伸びない中、平成27年度に引き続き、財源不足の状況は変わっておりません。
歳出では、職員人件費、物件費、補助費等、公債費などが減となる一方、普通建設事業、扶助費等が増となることから、市民サービスを維持するため、歳入において臨時財政対策債を4億円借り入れ、また、これまで積み増しをしております財政調整基金から2億8千万円を繰り入れ、財源調整をいたしました。
また、新公会計制度の導入に伴い、事業別のコスト計算等を見据え、歳出の予算科目の目以下の予算の組み替えを行い、個々の事業や所属などをより分かりやすいものといたしました。

総合計画に基づく施策について

さて、平成28年度は、第4期総合計画修正後期基本計画の2年目となりますが、その計画に基づいたさまざまな取り組みにつきまして、七つのまちづくりの目標に沿って若干紹介をさせていただきます。

希望に満ちた明るいひとづくり

まず、「希望に満ちた明るいひとづくり」では、英語教育推進事業により、英語教育指導助手、ALTを中学校へ常駐させるとともに、小学6年生及び中学3年生を対象に、英語検定の公費での受験を行い、児童・生徒の英語力の向上を図ります。
また、福生第四小学校をコミュニティ・スクールとして指定いたします。
これにより、保護者や地域の方々が、一定の責任と権限を持って学校運営にご参加いただき、そのニーズを迅速かつ的確に学校運営に反映させてまいります。
また、消防署の建て替え工事に伴い、現在の扶桑会館用地を東京都に無償貸与するため、扶桑会館の代替え施設の新築工事に向けた設計を行ってまいります。
なお、青少年海外派遣事業についてでございますが、本事業は、平成2年度から実施をしておりますが、事業開始当初とは社会情勢も変わってきたことから、教育委員会において事業の効果等を検証し、見直しを検討しておりましたので、私も実地検証を行うため、平成27年度の事業に同行いたしました。
そこでは、生徒たちが日ごとにさまざまなことを吸収し成長していく姿を目にし、また、多くの方々の手厚いサポートを受けてこの事業が実施されていることを実感し、深く感謝もいたしたところでございます。
このように、事業効果は認めるところではございますが、全生徒数に対する参加者の割合が少なく、対象が特定の生徒に限られ公平性の点で課題があること、現在は当時と比べ、語学力と国際感覚などを養う機会は格段に増えていること、また、テロなどに対する懸念もありますので、安全面等も考慮する中で、本事業を休止することといたしました。なお、今後の方向性を平成28年度中に教育委員会で検討した上で、平成29年度から新たな事業を実施したいと考えております。

だれにもやさしい安全なまちづくり

次に、「だれにもやさしい安全なまちづくり」では、先ほども申し上げましたが、今年は福生市消防団が東京都の代表として、長野県で行われる全国大会への出場が決定しております。20年ぶりとなるこの快挙に市として活動交付金の増額など最大限の後押しをいたしたいと考えております。
さらに、福生駅から国道16号線をつなぐ都市計画道路3・4・7号富士見通り線の整備でございますが、28年度から用地買収を順次実施し、事業を着実に進めてまいります。

潤いのある豊かなくらしづくり

次に、「潤いのある豊かなくらしづくり」では、第二市営住宅A棟にエレベーターを設置し、バリアフリー化を図ってまいります。この工事が完了いたしますと、第二、第三、第四市営住宅すべてにエレベーターが整備されることになります。

安心に満ちたまちづくり

「安心に満ちたまちづくり」では、杉ノ子第三保育園の園舎建替えに伴い、その建設費の一部を補助し、待機児童解消を進めるとともに、保育サービスの充実をさらに図ってまいります。
また、地域の子育て支援機能の充実を図るため、子ども応援館内に子育てひろばを開設いたします。さらに、高齢者の皆様への配食サービスでございますが、社会福祉協議会への指定管理業務に加え、新たに民間事業者に委託し事業の拡充を図り、高齢者の日常生活を支援してまいります。

活力とにぎわいのあるまちづくり

「活力とにぎわいのあるまちづくり」では、これまで別途委託しておりましたロケ支援業務や各種イベントへの観光ブースの出店業務等を「くるみるふっさ」に一本化し、観光事業の推進と都市型観光のさらなる充実を図ってまいります。
また、中小企業振興として、開業資金の融資に係る信用保証料の補助について、これまでの半額補助から全額補助に増額するなどし、市内創業者への支援の強化を図ってまいります。

ともに助け合うまちづくり

「ともに助け合うまちづくり」では、加美公会堂の会館建設を助成することにより、地域の活動拠点の耐震化を図るとともに、地域コミュニティの活動促進を支援いたします。
さらに、加美第一町会、第二町会の合併が予定されておりますが、合併に際しての一時的な負担を軽減し、合併後の町会運営が円滑に行えるよう、支援してまいります。

市民と行政がともに進めるまちづくり

「市民と行政がともに進めるまちづくり」では、円滑な議会運営に資するため、老朽化した議場放送設備を更新いたします。
また、市のさまざまな取り組みを強く発信するために、市ホームページのリニューアルを28年9月に実施いたします。
さらに、地域活性化事業の拠点として、より有効的な活用を図るため、もくせい会館を新築いたします。なお、工事期間は、平成29年6月末までを予定しております。
このように、分野ごとに事業を実施してまいりますが、具体的な事業計画につきましては、実施計画により明らかにしておりますので、御参照をいただきたいと存じます。

結び

結びとなりますが、これまで、議員各位におかれましては何かと御指導、御支援、御鞭撻を賜りました。心より感謝と御礼を申し上げます。
市長に就任以来、「このまちが好き 夢かなうまち 福生」の実現に向け、365日すべてが公務だと自覚し、ただひたすら、全力投球で邁進してまいりました。
黒人初の大リーガー選手だったジャッキー・ロビンソンの言葉に「不可能の反対は可能ではない。挑戦だ。」という言葉があります。これは、思い切ってチャレンジしなければ、可能性は広がっていかない。リスクとプレッシャーはあるかもしれないが、チャレンジすることで、自ら未来を切り開いていくのだ、と理解をしておりますが、今の心境もまさしくこの通りでございます。
引き続き、市政の運営に全力で取り組むことをお誓い申し上げまして、平成28年度の施政方針とさせていただきます。
長時間にわたり御清聴を賜りまして、まことにありがとうございました。

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企画財政部 企画調整課 企画調整担当
〒197-8501 東京都福生市本町5
電話:042-551-1528